DevOpsという思想。ツールだけにしない、チーム連携の文脈で考える
DevOpsは単なる自動化やCI/CDのことではありません。本記事では、開発と運用の“対立”をどう乗り越えるかという文脈から、DevOpsをチーム文化や思想として捉え直します。
「DevOpsって、CI/CDのことですよね?」
もしそう思っているなら、それはDevOpsの“結果”しか見ていないかもしれません。
DevOpsは、CI/CDやインフラ自動化といったツールの集合ではなく、
「開発と運用が対立するチーム構造そのもの」を変えるためのアプローチです。
この記事では、DevOpsを技術ではなくチーム文化・連携思想として捉え直す視点をお届けします。
DevOpsはなぜ生まれたのか?
🔥 かつて、開発と運用は“対立関係”だった
- 開発:「早くリリースしたい」「改善をどんどん出したい」
- 運用:「安定が第一」「勝手に変えられると困る」
この価値観の衝突は、**「開発⇔運用の壁」**と呼ばれ、ソフトウェアの成長を阻む大きなボトルネックでした。
DevOpsの本質:文化をつなぐ“対話”の思想
DevOpsとは「Dev(開発)とOps(運用)をつなげる」だけでなく、
異なる価値観を持ったチーム同士が、共通の目的をもって協働するための思想的アプローチです。
キーワード | 中身 |
---|---|
🧩 コラボレーション | 部署をまたいだ対話・共通ゴールの設定 |
⚙️ 自動化 | 人手によるミスを減らし、信頼とスピードを両立 |
🔁 フィードバック | 仕様・設計・運用の改善を循環させる |
📊 可視化 | ボトルネックや運用状態を誰でも見えるようにする |
🤝 信頼 | 「責める」から「共有して改善」へ |
DevOps ≠ 単なるツールセット
CI/CD、Infrastructure as Code(IaC)、監視ツール、コンテナ…
たしかにこれらはDevOps実践において重要です。
でも、ツールはあくまで“手段”。
それより大切なのは、「そのツールをチームがどう使い、どう信頼を築くか」という文化のあり方です。
DevOpsを文化として導入するには?
✅ Step 1:価値観の共有から始める
- 「早く出したい」と「安定させたい」は矛盾ではなく緊張関係として両立可能
- お互いの立場と責任を理解し合う場づくりが第一歩
✅ Step 2:対話しながら業務を“つなげて”いく
- 開発中から運用を巻き込む
- 障害対応のふりかえりを一緒に行う
- 責任のなすりつけではなく、改善の共有にシフトする
✅ Step 3:自動化と可視化で信頼を築く
- デプロイの自動化 → 手戻りが少ない開発習慣に
- モニタリングの整備 → 問題の“共通理解”が可能に
DevOpsは、チームの“思想”を変える鍵
DevOpsがうまくいくチームには、こんな共通点があります。
- 障害が起きたとき、誰も責めない
- 開発と運用が日常的に話している
- 成果が出ると、自然と「ありがとう」が聞こえる
つまり、DevOpsとは、チームに“責任と改善を共有する文化”を根づかせるための土台なのです。

編集部